#12 従来なら破棄されるはずの
ヒノキを活かした
「ジャパニーズスマッジ」

yohaku コラム

Yohakuのヒノキを使ったプロダクトにはオイル、お香のほかに「ジャパニーズスマッジ」があります。スマッジ(スマッジング)とは、ネイティブアメリカンに伝わる文化。ホワイトセージなどを燻し、その煙で場の悪いエネルギーを払い浄化するというものです。ヒノキは、『日本書紀』にも登場し、ご神木とされる聖なる木。場の浄化、香りのよさから日本らしいスマッジになる、と開発をしました。

 

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このスマッジに使用する枝葉がある山へ、森林組合おわせの堀内さんが案内してくれました。木が密集し枝同士がわさわさとからまり、さきほどの森とはまた違った風景です。

「不必要な枝を山林の太陽のあたり方や植生の様子などを見て落とし、よいヒノキになるように育てるんです」

その不必要な枝を"枝打ち"したものが「ジャパニーズスマッジ」の材料となるわけです。

 

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枝打ちされた枝葉は、森林組合おわせの加工場に集められ独自に加工されます。加工場の管理者である大形さんが、こんなふうに言ってくれました「葉っぱにこんな使い道があったなんて!ありがとう」。

枝打ちされた枝葉は破棄されるか、木質バイオマス燃料として燃やされることがほとんど。尾鷲市内の別の事業所で手作業で巻いていただいているため、地域での循環が生まれ、それはこれまでなかったことだそう。

森林組合というと「木を生産する側」の組織というイメージがありますが、森林組合おわせは「川上」と「川下」をつなぐ活動を10数年前から熱心にしています。林業の専門用語で、「川上」とは木を育て整備し、伐採を行うこと。「川中」は、木材を加工すること。「川下」は木材を使用・活用すること。 昔は、木材を船に積んで川で運んでいたことから派生した言葉だとか。今や木材の運搬はトラックどころか、海外からタンカー船でやってくる時代。そんな今だからこそ、森林組合おわせが大切にしているのが木材の地産地消。 尾鷲ヒノキは製材され、建築物の柱や建材、建具、家具となっていくことが多いそうですが、こうした小さな葉っぱの行き先にも喜んでくれる。

「育てているヒノキが、こんなふうになるなんてうれしい」との思わぬ言葉に、こちらまで嬉しくなる取材でした。

 

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文: 柳澤智子(柳に風)
撮影:宮濱祐美子