Yohaku Lab 創香室+茶の香
Yohaku Lab創香室オープン2周年スペシャルイベント「創香室+茶の香」を行いました。
新しい香りの楽しみ方を提案する場として、Yohakuと旅館「和多屋別荘」とのコラボレーションによる「Yohaku Lab 創香室」をオープンしたのが、2022年5月24日。その2周年を記念して、「創香室+茶の香」イベントを開催いたしました。
Yohakuのコンセプトは「1日の時間の流れ」。アイコンであるオイルは5つあり、それぞれ、朝、昼、午後、夜、真夜中を香りで表現しています。普段の「Yohaku Lab 創香室」では、このYohakuのオイルを軸に、調香師・堀田龍志氏が特別に開発したレシピで、オリジナルフレグランスバッグの創香を体験していただけます。 今回は、5種のレシピすべてを創香いただき、透明のボトルに詰める、という特別なスタイルで楽しんでいただきました。
「Yohaku」のキープロダクト5種のブレンドオイル Sunrise / Monk Tree / Hayes Valley / Moon Jazz / Black Mountain。お好みのオイルを1種選び、そこに白檀、桂皮、ラベンダーなど粉末の香原料をレシピにのっとって創香するワークショップからスタート。嬉野茶や地元で人気のコーヒーショップが焙煎したコーヒー豆などこの土地ならではの原料も。
「和多屋別荘」の館内には、嬉野茶が存分に味わえる「副島園茶寮」が出店しています。副島園とは、嬉野で4代にわたって続く茶農家。100年以上続く茶農家だからこそ知る、嬉野茶の味わい方を提案するティーガストロノミーです。
その「副島園茶寮」マネージャーである宮下大輔さん、Yohakuの香りをすべて調香した調香師の堀田龍志さんとともに、今回の「創香室+茶の香」のあり方を考えました。
宮下大輔/大学在学中に特定疾患を患い、医療業に就職後改めて健康と食の大事さを知りお茶の世界に飛び込む。リプトンの店舗運営、嬉野茶農家 副島園の元で3年間の修業期間を経て、現在、副島園本店とBARのマネージャーを兼任し、様々なお茶の愉しみ方を提案する。
爽やかなコクと独特の甘みを持つ嬉野茶。その特性を活かし、かつ「創香室+茶の香」としてYohakuの世界観ともマッチするよう、宮下さんが5種のお茶を提案してくださいました。
一茶目/Sunrise×爽
北海道の和ハッカを香りの軸にしたSunrise。その爽やかさに触発されて一茶目はじっくりと茶器で嬉野茶を蒸らし香りを引き立たせる。抽出されたお茶は捨て、茶葉から香りたつ香りだけを楽しむ、というサプライズに満ちた提案。「茶葉の香りの爽やかさを感じていただきたい。あえて飲ませず、香りだけを楽しんでいただくのもひとつの茶の楽しみ方です」(宮下さん)
二茶目/Monk Tree×荒
茶の産地ならではの、お茶の楽しみ方がこの二茶目でした。「荒茶というものが産地にはあります。これは、一番摘み茶の茎や粉を選別せずに作るもの。水分を多く含むため、ほとんど市場には流通せず新茶の今だからこそ、楽しんでいただけるお茶です」。その荒茶を水出ししたものをフルートグラスに注ぎ、見た目にも初夏が近づくのを感じる清涼な風味。
三茶目/Hayes Valley×檸
檸(ねい)とは、ミカン科の常緑低木のこと。嬉野の和紅茶とシロップ、フレッシュなレモンを合わせたフルーツティー。氷、シロップ、和紅茶が幾層にも重なり、美しいグラデーションが印象的でした。
四茶目/Moon Jazz×芳
Moon Jazzは夜を司る香りで、柚子を軸にジャスミン、ローズ、コーヒーなどの香りが調香されています。宮下さんが考える夜のお茶とは、「コーヒーのような濃いめのほうじ茶です」。茶菓子として添えられたのは、佐賀の十穀味噌を練り込んだホワイトペカンナッツショコラ。
「バーの情景で飲むイメージで考えたのが、ウイスキーとも相性の良い、香ばしく奥深い風味を持つほうじ茶でした。夜なのでカフェインレスという点も、ほうじ茶のよさ。ゆっくりと味わってください」
五茶目/Black Mountain×充
いよいよ、「茶の香」もクライマックス。真夜中からインスピレーションを受け「背徳感」をテーマに結びついたのが上生菓子。その甘さを引き立てるのが、露地栽培で作る煎茶の新茶。「露地栽培のお茶は、かぶせ茶と違って、すっきりした味わい。嬉野茶が本来持つ甘みもありながら、新茶の香りと露地ならではの程よい渋みが味わえます」
やきものの産地でもある佐賀ならではの、有田焼や肥前吉田焼の器も使った、五感に響くこの「創香室+茶の香」。奥深い香りと味わいの余白を残す会となりました。
文: 柳澤智子(柳に風)
撮影:深川圭, 宮濱祐美子(創香室)