Yohaku Lab 創香室+酒の香

Yohaku Lab創香室オープン2周年スペシャルイベント「創香室+酒の香」を行いました。

yohakuLab 創香室+酒の香

新しい香りの楽しみ方を提案する場として、Yohakuと旅館「和多屋別荘」とのコラボレーションによる「Yohaku Lab 創香室」をオープンしたのが、2022年5月24日。その2周年を記念して、「創香室+酒の香」イベントを開催いたしました。

通常の創香室のプログラムは、Yohakuのアイコンである5種のアロマオイルから好きな香りを1種選んでいただき、調香師が開発したレシピにのっとり粉末の香原料をブレンド。オリジナルのフレグランスバッグを作っていただきます。

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今回は、5種のレシピすべてを体験いただき、透明のボトルに詰める、という特別なスタイルで楽しんでいただきました。その5つのボトルを前に、5種のワインを愉しんでいただくのが「創香室+酒の香」です。食の場では、風味を邪魔してしまうためフレグランスを持ち込まないのが常識とされていますが、Yohakuの香りは100%天然のもの。あえて、フレグランスの香りとワインのペアリングを愉しむという、類を見ない会を企画しました。

 

Yohakuの世界観をお酒で表現するには?と、考えをめぐらせたときに浮かんだのは、ワイン。というのは、Yohakuのアイコンである5種のブレンドオイル、
Sunrise / Monk Tree / Hayes Valley / Moon Jazz / Black Mountainは、それぞれに北海道の和ハッカ/三重のヒノキ/宮崎のクスノキ/栃木のユズ/三重のヒノキリーフを香原料の軸にしており、「土地が持つ個性」を大切にしています。
テロワール(土地が持つ気象条件、土壌、地形、標高)を重視するワインと、Yohakuの香りは、きっとおもしろいペアリングになるはず。

ワインを提案いただいたのは、ソムリエの鳥谷憲樹さん。 イタリアでソムリエとしての修行を積んだ鳥谷さん。ワインの産地は世界中にあり、日本でも数多くワインは作られていますが、Yohakuの世界観を表すために選んだのは、やはり愛するイタリアのもの。南北に長いイタリアは日本と共通する風土を持ち、しかも20ある州のすべてで個性豊かなワインが作られているとか。

「イタリアはぶどう品種がとても多いんです。州それぞれの土着品種というものもあります。今日は、その地理的な部分も含めて、香り、味を楽しんでいただければと思います」(鳥谷さん)

鳥谷憲樹

鳥谷憲樹/フォーシーズンズホテル椿山荘東京、イタリア修行を経て、オーナーソムリエとしてイタリア料理店「trattoriyaMimasaka」を経営(昨年閉店)。現在は、「おもてなしの心が湧き出る人的資本経営」を志向する、飲食店や旅館のサービスマンのコンサルティングを行う。

 

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1杯目/Sunrise×Prosecco。お料理は、グリッシーニと生ハム。
鳥谷さんが乾杯の1杯目として、選んだのはスパークリングワイン。
「Sunrise」のトップノートにあるレモン、柑橘類の香り。「それをワインで表すのなら、やはりスパークリングワインでしょう。イタリアには、フランチャコルタなどシャンパーニュと同じ製法で作られる素晴らしいスパークリングワインがありますが、ぶどうが持つ香りの個性をピュアに感じられるシャルマ方式のプロセッコを選びました」

プロセッコとはヴェネト州で作られる白のスパークリングワイン。青りんご、グレープフルーツのようなすっきりとした風味を持つそうです。ちなみに、器は「Sunrise」からイメージして、日の出をモチーフにしたものを選んでくれたのだとか。

 

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2杯目/Monk Tree×Vermentino。お料理は、魚介類とにんじんドレッシングのサラダ。
ヴェルメンティーノ(Vermentino)とは、ぶどうの品種名。
「Monk Treeはヒノキを用いた、清らかさを感じる香り。そこで、トスカーナ州でヴェルメンティーノを用いて作られている白ワインを合わせました」。ミネラル感があって、どこか溌剌とした、やや酸味のある白。

 

yohaku創香室+酒の香 yohaku創香室+酒の香

「Yohaku」の香りが、もしもワインになったらこうなる」という見事な解釈に、参加者からも感嘆の声と質問が飛び出します。日本と共通する風土を持つイタリア。会場である佐賀をイタリアの州でいうとどこ?という質問には、「うーん、プーリア州かな?」と鳥谷さん。

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3杯目/Hays Valley×Pinot Nero。お料理は、ラザニア。
Hayes Valleyは、クスノキの香りを用いながら、昼過ぎの太陽のあたたかさ、どこか懐かしさを感じてもらいたく、「藁」から抽出した香原料を含んでいます。「どこか、やさしいあたたかさを感じますね」と鳥谷さん。「こういったHayes Valleyのニュアンスをワインで表現するには、樽感のある白ワインという選択肢もあったんです。ですが、ここは、アロマティックなワインの巨匠サラッコが作るピノ・ネロ(Pinot Nero)という品種を用いたピエモンテ州の赤ワインにしました。ピノネロはフランスでは、ピノ・ノワールと呼ばれ、世界中でよく知られる品種ですね」

 

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4杯目/Moon Jazz×Barbaresco。お料理は、佐賀牛のロースト 赤ワインソース
グラスがどんどん空き、時間は20時に。まさに夜を司るMoon Jazzの香りがふさわしい頃合いとなりました。「Moon Jazzから感じるのは、大人の余裕。ワインも熟成感をあるものを選びました」。ピエモンテ州バルバレスコ地区で作られた、ネッビオーロ100%の赤ワインからは、熟成由来のアロマ、トリュフやどこか動物的な香りも感じられます。

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時間の経過とともに少しずつ変わっていく、ワインの風味。これはフレグランスも同じ楽しみ方ができ、Moon Jazzはトップノートはユズとラベンダー。時間が経つうちに、ミドルノートとしてゼラニウム、ローズ、ジャズミン。
ラストノートは、トンカビーン、コーヒーのニュアンスが感じれられるように調香しています。そんなフレグランスとワインの香りの変化を、調香師の堀田さん、ご参加のみなさん交え、鼻と舌で確認しながら、いよいよ、最後のワインに。

 

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5杯目/Black Mountain×Digestivo。デザートは、ティラミス。
ディジェスティーボ(Digestivo)とは、食後酒のこと。赤ワインに使用する葡萄を干し葡萄にし凝縮させてからつくったデザートワインで、甘味もたっぷり。

 

 

「創香室+茶の香」と、「創香室+酒の香」、Yohakuの香りと嬉野茶、ワインの共通性、ペアリングを楽しむ会。2日間にわたり開催して感じたことは、私たちYohakuの香りの引き出しを、宮下さんと鳥谷さんが意外な方向からどんどん開けてくれたこと。まだまだ、眠っている引き出しがこんなにあったとは。フレグランスの新しい可能性を感じる、スペシャルなイベントとなりました。

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文: 柳澤智子(柳に風)
撮影:深川圭